違っていても大丈夫──ドライポイントで描いたふたりの物語
“Not the same, but still together.”
(違っていても大丈夫、いっしょにいるよ)

この言葉とともに描いたのは、うさぎさんとバンビちゃんがそっと寄り添う姿。
種類も大きさも違うふたりが、ただ静かに、寄り添っているシーンを描きました。
この絵は、ドライポイント(銅版画の技法)で制作しました。
ペンや鉛筆とは違い、版に直接針で線を刻んでいく技法で、
その線には独特のやわらかさと揺らぎが生まれます。
インクのにじみや、手の動きがそのまま残るような、
アナログならではの温かさを感じてもらえたらうれしいです。
この作品には、私自身の気持ちが、そっと重なっています。
子どもの頃の私は、よく「変わってるね」と言われていました。
当時は、みんなと同じであることが当たり前で、
ちょっと違うと「おかしい」と見られてしまうような雰囲気がありました。
でも私はずっと、自分のどこが変わっているのかわからないまま「どうして違っていてはいけないんだろう?」とも感じていました。
周りに合わせようとしても、どこかしっくりこなくて、
小さな違和感を抱えたまま子供時代を過ごしていたように思います。
大人になった今、みんなと同じでなくても大丈夫、一人一人の個性を大事にしていきたいと思うようになりました。お互いの個性を認め合えば、同じでなくても、一緒にいられる。
もしかしたら、
バンビちゃんをそっと抱きしめているうさぎさんは、
あの頃の私に「大丈夫だよ」と言ってくれている、今の私自身なのかもしれません。
描き終わってみて、そんなふうに感じました。

この作品が、どこかで小さな誰かの心にも届いて、
「そのままの自分でいていいんだよ」と、そっと伝えることができたらいいなと感じています。
私のひとりごとにお付き合いいただき、ありがとうございました。
読んでくださった方の素敵な個性が輝きますように。
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