カゴの中から外に出ようと小さな胸をワクワクさせているうさぎさんたち

線で描くということ

― 色をつけない絵の理由 ―

最近、うさぎさんを描くときに、あえて色をつけないことが増えてきました。
うさぎさんの種類、毛色や模様は本当に無限にありますよね。

以前から、絵を描いている時、色をつける段階になると
「何色にしよう」「どんな模様にしよう」と悩むことが多かったんです。
毛の模様や色の違いを丁寧に描き分けていた時期もありました。

けれど、どこまで描いても「うちの子とは少し違う」と言われてしまうことがあります。
絵を見てくださる方が、「うちの子と違う色・模様」という理由で
その絵の世界に入り込めないのではないかと感じていました。

線だけで描いたうさぎさんには、
見る人が自分のあの子を重ねられる余白があります。
白い紙の上に眠るうさぎさんを一筆で描くと、
その姿に「うちの子みたい」と感じる方もいれば、
「こんな時間を一緒に過ごしたい」と思う方もいます。

つまり、見る人が自然と絵の世界にスッと入り込める。
それが、私が色をつけない理由です。

色をつけないことで、絵の中に“想像の自由”が生まれます。

たとえば、昼寝しているうさぎさんを描いたら、
見る人がその隣に座って、一緒にまどろむような気持ちになれる。
お茶を飲んでいるうさぎさんを描いたら、
その湯気の向こうに自分も座って、小さなカップを手にしたくなるかもしれません。

そうやって、絵と人とのあいだに
“静かな共感”が生まれる瞬間が、私は好きなのです。

絵を通して、絵を見た人と楽しい気分や嬉しい気分、
優しい気分をわけあいたいと思っています。

うさぎさんの模様や種類を描き分けるのではなく、
うさぎさんが存在している「世界」を描きたい。
そして、その世界のなかに、
見る人が自分の大切な存在を重ねられるような余白を残したい。

それが、今の私の「線で描く」という理由です。