2025-09-17

本物の衝撃

昨日、テレビから「ゴッホ展開催」という言葉が流れてきました。久しぶりにゴッホを見てみたいなと思いながら眺めていたとき、ふと、ある記憶がよみがえってきました。

私が初めて美術館でアートを鑑賞したのは、中学1年か2年の冬だったと思います。家族で訪れた箱根彫刻の森美術館で、屋外展示を見たあと、最後にピカソ館へ入りました。
たくさんの作品を眺めながら、私は母に尋ねました。
「ここにある絵は全部、本物なの?」
母は当然のように答えました。
「美術館なんだから本物に決まってるでしょ」

その瞬間、心底びっくりしました。あまりにたくさん作品が並んでいるので、レプリカが飾られているのだろうと、勝手に思い込んでいたからです。
今、目の前にあるこの絵は、あのピカソが、自分の手で筆を握って描いたものなんだ!この絵の前に、ピカソ本人が立っていたんだ!――急にリアルに感じられて、心底全身が震えるようでした。あれが、私にとって初めての“本物の衝撃”でした。

それ以来、美術館に行くときはいつも、作家が自らの手でこれを作ったのだと、作品の向こうにその存在を感じるようになりました。

今はネットで画像や動画を簡単に見られます。でも、作品の前に実際に立たないと感じられない、作者の思いや時間の重みがあります。あのときの衝撃は、画面越しでは決して得られないものだと思います。

夏の暑さもひと段落してきました。この秋は、美術館へ出かけて、あのときの“本物の衝撃”を、もう一度味わってみたいと思います。

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